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【憧れのヴィクトリア朝ロンドンは、汚物にまみれた、想像を絶する不潔都市だった  




『不潔都市ロンドン ~ヴィクトリア朝の都市浄化大作戦~』
リー・ジャクソン(著)
寺西のぶ子(訳)
河出書房新社 (2016/9/27)
※敬称略



「今度の小説は、乙女系の王道・ヴィクトリア朝を舞台にしたい!」

そう決めて、当時の風俗を調べていたとき、この本に出会ってびっくり仰天!!
乙女系人気No.1の舞台である、華やかなヴィクトリア朝ロンドンが、こんな……こんな汚物にまみれた不潔都市だったなんて!!!!  (((( ;゚д゚))) 

思わず、「これはノン・フィクションを装ったフィクションなのかっ!?」と、本の前書きを二度読みしてしまいました。
……(つд⊂)ゴシゴシ……


1899年、大英帝国の全盛期、当時の中国大使はヴィクトリア朝のロンドンについて意見を求められ、そっけなく答えた。
「あまりにも汚い」。
彼は、誰の目にも明らかなことを言葉にしたにすぎなかった。
大通りは、どろどろした黒いペースト状の馬糞を主体とする汚泥で沼地のようになり、大気はすすまみれで、汚れのかけらが「冥界の黒い雨」となって地上に落ちてくる。
独特のいやな匂いが街中に漂う。
冬には霧が強烈な硫黄臭を運んでくるし、夏には「痛んだ果物、野菜、腐った卵、たばこ、こぼれたビール、馬専用の潤滑油、乾いた煤、煙、道路のごみ、湿った藁のにおいなどが混じり合った」醜悪なカクテルが生まれた。



こ、これは……二作目の舞台になったオールド上海にも似た光景……。
(ロンドンのほうが、かなり強烈だけど 

けれど、この時代の大都会はおおむね、どこも似たような状況だったのかな、と思います。
そういえば、同じ頃の日本の街が清潔なことに、来日した外国人が驚いていた  という記述を、どこかで読んだ記憶がある。
東洋のはずれにある小さな島国、しかも後進国なのに、道にゴミが落ちていない、下水道が整備(…といっても、昭和の時代によく見かけた道端のドブのことだと思うけど)されていることが、先進国ヨーロッパ人たちにしてみれば、信じがたい光景だったのかも……。


ともかく、ヴィクトリア朝ロンドンは「あまりにも汚い」都市だった(しつこく言う)……。

そう……現実は、かくも厳しいもの。
それは創作物フィクションのなかとて例外ではない  と思い知らされたのでした……(T_T)


「こんなマイナス面は無視するべき。既存のヴィクトリア朝のイメージを壊すべきではない。……でもでも、【昼間でも夜のように暗い、太陽光を遮る黒い濃霧】を使えば、ヒロイン誘拐をやすやすと成し遂げられる……!」
と、思いつくと……
あとは、ほの暗いヘンタイ的イメージがどんどこと湧いてきて、わくわくしながら書き進めることができました(笑)


意外にも、”あまりにも汚い”ヴィクトリア朝ロンドンは、淫靡いんびで妖しい物語の舞台にうってつけだったのでした  


<photo = public domain>



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