背徳の蜜愛ドール
イラスト10枚入り
トパーズノベルス(2017/05/26 配信)
【著】燈花 
【イラスト】龍胡伯(敬称略)

蜜愛ドールcover

龍胡伯先生の描く緋色のドレスが、
そこはかとない淫靡さを物語っています。

トパーズノベルス3作目にして初めてのピン(一人)ヒーロー。
でも、歪みまくり、病みまくってます。

ヴィクトリア朝ロンドンのほの暗い雰囲気と、
病んだエロスを堪能してください。

★amazon kindle unlimited対象(2020/12月現在)



【あらすじ】

 養父の命令で無理やり婚約させられた17歳のヴィオラは、嫁ぐ日、深い霧のなかで馬車に拉致された。
 誘拐したのは、十年間行方不明だった愛しい義兄ガブリエル。
「僕を裏切った罰だ。もう二度と自由にはさせない」
 記憶を失い、伯爵家の養子になって家督を継いでいた彼は、ヴィオラを人形のモデルとして監禁し、淫らな行為を重ねた。
 そんなある日、十年前の忌まわしいできごとを思い出したヴィオラは、ガブリエルの不幸は自分のあやまちが原因だったことを知る。
 狂気の片鱗を見せはじめたガブリエルは、二人の生活を邪魔する人間を次々と排除し、さらに媚薬を盛ってヴィオラの自由を奪っていくが  



【お試し読み】

  夢にしては、あまりにも鮮やかだった。
 手のひらに相手の身体のぬくもりも伝わるし、なめらかで汗ばんだ肌の感触もある。
 誰だかわからないけれど、たしかに男性のものだ。
 林檎りんごを思わせる甘酸っぱい汗の匂い。
 髪の毛の陽向ひなたくさい匂い。
 吐息の震えさえ、頬に感じる。
 それなのに、これは夢なのだ  

(……まただわ……また、あの……おなじ夢……)
 ヴィオラは、夢のなかで思う。
 このままでは、また、罪深い淫蕩いんとうに身をまかせることになる。
 何度もあらがおうとしたが、むだだった。圧倒的な力で手足を押さえつけられ、強引に顎をつかまれると、もう抵抗する気力などおこらない。
 唇をやわらかくふさがれ、ヴィオラは蹂躙じゅうりんされるにまかせた。
「……うう、やっ……やめ……ふっ、んん……」
 ぬめる厚い舌が歯列を割り、ヴィオラの口腔こうくうの奥へと侵入する。それは淫猥な生きもののように、上顎や歯茎はぐきを舐め、舌の上を這いまわった。
 十七歳のヴィオラは、まだ男を知らない乙女だ。夢のなかだとわかっていても、こんなことは許されない。こんな、淫らなことは  
 いくら顔をそむけようとしても、力づくで引きもどされた。口のなかでうごめく舌の動きは執拗しつようで、自然とあふれた唾液が、ひらいたままの唇の端からこぼれる。
 身体の芯から、じわりと熱いものがこみあげてきた。
 その熱はヴィオラの下腹に拡がり、すべての理性を奪ってしまいそうな甘い疼きを連れてくる。
 どうにかして熱を押しやろうとすると、それを拒むように、こぼれ落ちそうな胸がつかみあげられ、そのとがりに吸いつくものがあった。

「お願い……放して……」
 ヴィオラの弱々しい訴えは無視される。
 乳輪に沿ってゆっくりと、湿った舌が動く。つんと硬くなった乳首をくわえられ、吸いあげられる。もう片方の乳房は、大きな手で揉みしだかれていた。
 こうしてきだしの胸をなぶられるたびに、感じやすい淫らな肉体に作り変えられていくような気がする。もう、あともどりはできない。
 夢のなかにいるあいだ、ずっと身体中をいじられ、恥ずかしい場所を口で愛され、何度も絶頂を極める  そんな淫夢を、ヴィオラはくり返し見ているのだ。

 敏感なとがりをふくみ、小刻みに震える舌で刺激していた男の唇は、徐々にヴィオラの下腹に降りてくる。
 これからなにをされるのか、もう予測はついた。
 薄い繁みの奥にある秘裂を指で割られると、冷たい空気にさらされた媚肉びにくが震える。その中心にあるひだと肉の芽を、男は緩急をつけながら指先でもてあそんだ。
 身体の奥を甘い疼きが駆け抜ける。
 秘所の襞のあいだから、熱い蜜があふれるのがわかった。

「……あ、あ  
 これは知ってはならない罪深い感覚だと、ヴィオラは気づいていた。
 夢なら、もう覚めてほしい。これ以上先には、いかないでほしい  
 けれど執拗な夢は、まだ続いていく。
 襞ごと肉芽をくりくりとこすられる。濡れた襞の内側をそっと撫でられると、じれったいような、じわりとした快感につつまれた。

『……濡れてきたね、ここ……』
 おぼえのある、掠れた声が聞こえた。
 ヴィオラの背筋を、ぞくりとした疼きが走った。
『大人の女性しか味わえない悦びがあるんだよ、ヴィオラ。知りたくないかい  ?』
 濡れそぼった秘孔の入口に、指が入ってくる。
「いや……」
 逃げようとして、ヴィオラは腰を引いた。
 けれど、彼の指は容赦なく媚肉を押しひらき、さらに奥へと侵入していく。
 手のひらで肉芽を押し潰しながら、同時に、長い指が抽送ちゅうそうされ、膣の奥を掻きまわす。そのたびに、あふれた蜜液がいやらしい音を立てた。
『ほら、ここ……花びらがひらききった。もう、僕のものをれても大丈夫だね』
  そんな……だめよ……!」
『ヴィオラは、嘘つきだな』
 熱い吐息が、もものつけ根の粘膜にかかった。
 彼の舌先がやわらかく襞を舐め、秘裂から顔を出した花芽にたどりついた。とがらせた舌先で芽の皮をむき、ちろちろと遊ばせたあと、いきなり吸いあげ、なぶるように愛撫する。

「……ひぃっ……!」
 ヴィオラは悲鳴をあげ、身をよじった。
 熱い口中に包み込まれ、膨らんだ肉の粒をていねいに舐められると、腰が浮きあがり、自然と先をせがむように動いた。
 そんなヴィオラに応えるように、彼は膝の裏に手を入れてさらに秘所をひらかせ、歯を立て、甘噛みする。
 全身が沸騰ふっとうして溶けてしまいそうなほどの、激しい快楽が押し寄せてきた。蜜口の奥がきゅうっとしぼられ、淫らな液がつぎつぎとあふれてくる。

『いやらしい身体だ……こんなに蜜をこぼしてる。男に、ここを舐められるのが好きなんだな、ヴィオラは……』
  ひっ……」
 悶えるヴィオラの腰をかかえ、彼は唇と舌でさらに激しく花芯をむさぼった。
 ねっとりと舐められ、吸いあげられ、転がされ、音を立ててしゃぶられる。硬い歯でなぶられると、身体の芯が蕩けていく。
 このままでは、おかしくなってしまいそうだ。ただ熱くなるばかりで、充足感が得られない。
「……いや。もう、いやぁ……奥が……」
 とうとうヴィオラは、こらえきれずにうめく。
  奥が、どうかしたのか?』
 彼は、そそのかすように耳もとでささやく。
「……奥が……身体の奥が疼いて、熱いの……お願い、どうにかして……」

 脚のあいだに、男が身体を深く入れてきた。その身体を逃がさないように、ヴィオラはみずから脚をひらき、たくましい腰をかかえ込む。
 濡れた秘裂に、硬いものが押しあてられた。
 ひくつく蜜口を拡げながら、熱のかたまりが、ぐっと押し入ってくる。
「ううっ……」
 反動で、押し潰した声が漏れた。
 不思議なことに、痛みはまるでなかった。
 ただ、みっちりとふさがれて満たされた、甘い痺れが腰全体を浸している。

  ああ、すごいわ……」
 そう言ったつぎの瞬間、身体のなかにある雄芯が、さらに硬く、大きくなった。
 雄芯をつつんでいる蜜の筒が、悦びに軋んだ。
 襞がうねり、脈動する獰猛どうもうな器官を奥へと誘い、くわえ込む。
『……ヴィオラ……きみのなかは、熱くて、やわらかくて、きつい……』
 感じ入ったように深いため息をつくと、彼はゆっくりと律動をはじめた。
 膨れあがった雄の先端が最奥を突きあげ、せまい蜜の筒をえぐるように後退していく。抜ける直前まで引かれると、喪失感に襲われてしまう。

「いや……お願い、抜かないで  
 懇願するヴィオラの蜜襞が割り拡げられ、再度、熱いたかぶりが穿たれた。
 奥にとどくと、ゆっくりと引き下がり、また焦らすような緩慢かんまんさで奥に進む。
 そうやって、お腹側にある一点をくり返しこすられると、たまらない疼きがヴィオラのなかに生まれてきた。失禁してしまいそうな、むず痒い心地よさだった。
 むず痒さはしだいに、はっきりとした快感にかたちを変えていく。
  はぁっ……んんっ、……あっ、ああっ……!」
 信じられない喜悦が波のように襲いかかり、ヴィオラは背中を弓なりに反らせた。
『ここ?   ここが、いいんだね  ?』
 ささやいた彼は、ヴィオラの感じる一点を的確にこすりあげ、ぐるぐると掻きまわした。
「ああっ  ああ……すごく……いいっ  
 ヴィオラの唇から、直截ちょくせつな快楽の声があふれる。
  いい……いいわ、すごく……」
 深い快楽に身をまかせたヴィオラは、恥じらうことなく、男の抽送のリズムにあわせて腰をふり、悦びを追い求めた。

 身体の上で動いている彼は、誰なのか  
 夢のなかのヴィオラは、恐ろしくて、眼をあけて確かめることができない。
 閉じたままの目蓋まぶたの裏に映っているのは、まぎれもなく、義兄のガブリエルだったから  


   * * *


 一八六五年、四月が終わる日の午後  
 おなじみの濃い霧が、濁ったテムズ河から立ちのぼっていた。
 その霧は、街中まちじゅうの煙突から吐きだされる煙と混じりあい、どぶねずみ色の煙霧えんむとなってロンドンをつつみ込む。
 午後二時をまわったばかりだというのに、あたりは灰色の闇に閉ざされていた。
 道行く人々は舗道ほどうを手さぐりで進まなくてはならず、道路を横断するのは、それこそ命がけの危険な行為だった。

 異常な濃霧のなか、ヴィオラ・アディントンは、ウェストミンスター橋のたもとに停まった馬車の上にいた。
 厚い霧のベールが幾重にも降りて作りあげた闇のロンドンは、不気味な異界のようだ。
 重ったるい霧は、ヴィオラのいるほろで覆われただけの乗客席に流れ込んでくる。このまま留め置かれていたら、窒息してしまいそうだった。
 悪天候のせいで、オブライエン家からの迎えは、ここまでくることができないのかもしれない。
 ヴィオラは、ひとり闇のなかに取り残される可能性を思い、身震いした。
(よりによって、こんな日に嫁がなくてはならないなんて……呪われてるとしか思えないわ)
 たった一度、遠目に見ただけのザック・オブライエンという紳士にヴィオラは見初みそめられ、彼の妻になるために、今日この場所にいる。
 相手の顔を知らないまま嫁ぐことは、特にめずらしいことではない。一瞬ではあっても嫁入り前に夫の姿を見られただけ、ヴィオラは幸運かもしれなかった。
 しかも、ザック・オブライエンは裕福な商家の息子で、褐色の髪をしたハンサムな男性だ。幸運かもしれないどころか、僥倖ぎょうこうというべきだろう。
 長い金髪を結いあげ、持っていた唯一の外出着をまとったヴィオラは、自分の身体を抱きしめるように両腕を組み、不安な心持ちでまわりを見ていた。
 灰色の煙霧を見つめる眼は、右と左の色味がちがっている。右は明るいエメラルドグリーン、左は青味がかったみどり色だった。
 この眼を見て「めずらしい」と興味を示す者もいるが、気味悪がる者のほうが圧倒的に多い。
 ヴィオラの異形を「美しい」と心から褒め、自然に接してくれたのは、実の両親と義兄あにだけだった。
 三人とも、いまはもういない。

 ふと気づくと、煙霧の向こうから、馬のひづめの音がゆっくりと近づいてくる。
 ぼんやりとした松明たいまつの灯りも見えてきた。
 手をのばせば触れられる距離にきて、ようやく、それが二頭立ての馬車だとわかる。
 乗客席からのぞいているヴィオラに、御者ぎょしゃが声をかけてきた。
「ヴィオラ・アディントンさまですね?」
 その声に、ヴィオラは安堵した。
 御者台の端には松明がともされていたが、濃い霧のせいで御者の顔はよく見えない。
「はい。オブライエンさまのお迎えの方ですか?」
「さようです。お待たせして、申しわけございませんでした」
 御者台から降りてきたオブライエン家の使いに手を引かれ、ヴィオラは馬車を移った。真新しい黒い客車は屋根つきの頑丈なつくりで、防水に塗られたうるしの匂いがする。
 客席に入ると、なぜか向かいに人が座っていた。
 漆黒のコートをまとい、トップハットを目深まぶかにかぶった紳士だった。

「……ミスタ・オブライエン?」
 不審に思い、尋ねたヴィオラの記憶は、そこでとぎれた  



…………続きは電子書籍でお楽しみください。




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