『枢機卿の蜜愛花嫁』
イラスト5枚入り
トパーズノベルス(2018/07/27 配信)
【著】燈花 
【イラスト】かんべあきら(敬称略)

枢機卿cover

かんべあきら先生のシックなイラストが美しい❤

神官と枢機卿   聖職者どうしのカップル。
淫らな行いはタブーなふたりを、いったい、
どうやってくっつけて、禁忌を犯すように仕向けたらいいのか……。

作者的には真面目に悩んだ作品です(笑)
近衛兵のマレクがお気に入りのキャラになりました。
(番外SSは彼が主役)

★amazon kindle unlimited対象(2020/12月現在)




【あらすじ】
アデーラは、アンドルシュ皇国の第一神官。
ある日突然、隣国バルトシェク王国の枢機卿・レイスに拉致され、純潔を奪われた。
幼なじみで、密かに想い続けていたレイスとの情事に溺れていくアデーラ。
けれど、両国間の無為な戦争を避けるために皇国に戻った彼女は、『けがれた聖女』という不名誉な烙印らくいんを背負って辛い日々を過ごすことになる。
自分を不遇に追いやったレイスを憎みはじめていたアデーラは、彼の求婚を受け入れることができずに苦しむのだが……。




【お試し読み】

 ときは十八世紀のなかば  

 夕暮れの迫る荒れたクラル海を、一隻の船が航行していた。
 瀟洒しょうしゃな船室をそなえた中型の帆船で、大貴族が所有する私掠船しりゃくせんにも見える。
 クラル海は、ユーラシア大陸の南西にある内海だ。一年を通して温暖な気候に恵まれ、大小十二の島々からなるアンドルシュ皇国をはじめとする多くの島をかかえている。
 通常であれば穏やかなはずの海面に白い波頭が立ち、ときおり起こる大きなうねりが船を襲っていた。
 いにしえより大天使たちの守護を受けるクラルの海が、今日のように何の前ぶれもなく荒れるのはめずらしい。

  ※ ※ ※

 伸びてきた男の手が純白のベールをつかみ、剥ぎ取った。

  なっ、何をするのですか!」

 繊細かつ豪奢な総レースのベールとガウンは、最上位の神官である証しだった。
 布が裂ける嫌な音が聞こえる。
 美しいレースに隠されていた豊かな金髪がほどけ、ばさりと音を立てて背中に落ちた。
 アデーラ・アンドルシュヴァは、なりふりかまわずに男から逃れる。

 と、突然、船が大きくかしいだ。船腹に荒波を受けたようだ。
「きゃあ!」
 よろけたアデーラは神官服の長い裾に足を取られ、寝台に投げ出されるように倒れた。床に振り落とされないよう、寝台の支柱にしがみつく。

 聖職者の装いをした長身の男は、船の揺れなどものともせずに近づいてきた。その様子を見るだけで、漆黒の僧衣の下にある強靱きょうじんな肉体が想像できる。
彼は裂かれたベールの残骸をアデーラの足もとに無造作に放ると、ふてぶてしい態度で見おろした。
「もう一度だけ言うぞ、アデーラ。バルトシェクに来て、おれの女になれ。十年前に約束したはずだ」
「……や、約束ですって  ?」
 息を乱しながら、アデーラは深いみどり色の瞳で長身の男を見あげた。
 このレイス・ブルージェクという傲慢な美丈夫は、隣国バルトシェク王国の第三王子だった。
 クラル海をぐるりと包囲する大国の王子だからといって、所有物あつかいをされるいわれなどない。アデーラはクラル海に浮かぶ島国、アンドルシュ皇国の第一皇女であり、アンドルシュ正教の第一神官でもある。誰であろうと、異性との関係は結べない。
 対するレイスもまた、キリスト教カソリックの枢機卿すうききょうだった。神職にありながら、隣国の神官をさらったうえに不埒な狼藉ろうぜきを働くなど、裁判で重罪に問われても文句は言えまい。
 乱れた黒髪のあいだから、レイスの沈んだシルバーグレイの眼がこちらを見据えていた。くっきりとした二重のまなじりには、聖職者らしからぬ淫靡いんびな色香がある。

 彼が宮殿に愛人を囲っているという噂は、本当なのかもしれない  アデーラはふと思った。
 美貌と権力と財力、それに王家の血筋。すべてを手にしたレイスへの、やっかみや下卑げびた好奇心から立った風評だろうと想像できる。
 けれど枢機卿という立場は、聖職者である以上に政治家としての側面が大きい。野心的な女性に言い寄られ、乱れた私生活を送る者もいれば、密かに内縁の妻を持つ者もいると聞く。

 危険な香りを感じ取ったアデーラは、ざわつく心を抑えてレイスを見つめ返した。
「あなたと約束を交わした覚えはありません」
 きっぱりと断言するアデーラに、レイスはしたたかな視線を送ってきた。
「昔の口約束だがな。忘れたとは言わせないぞ」
  まさか……あ、あのときのことを言ってるの……?」
「必ずおまえを迎えに行く  おれは、そう宣言したはずだ」
 アデーラはたじろいだ。神官候補に任命され、神の島と呼ばれるロアナ島に渡った十年前の記憶が、おぼろによみがえってくる。

 船着き場を埋めつくした人の群れを搔きわけながら、九歳のアデーラを乗せた神輿みこしがしずしずと桟橋へと進んでいく。十二人の女官たちが担ぐ玉座に座った白づくめの幼い神官候補は、愛らしさと清らかな美貌で人々を魅了した。
 白い花で飾られた迎えの船に乗り込む直前、アデーラは呼び止められた。
 馬を降りた十八歳の初々しいレイスに、「必ず、きみを迎えに行く。待っていてほしい」と力強い声で告げられ、当惑したことを徐々に思い出す。

 レイスと、いつどこで最初に出会ったのか、アデーラは何も覚えていなかった。のちに母親から、二歳のときだったと聞いて納得した。
 生まれつき病弱だったレイスは、十歳から十五歳になるまでの五年間、呼吸器の治療と静養を兼ねてアンドルシュ皇国に滞在していたのだ。ゆっくりと死を待つだけの彼を救ったのは、島に自生する稀少な薬草と、金や鉱石の成分を豊富に含む湧き水を用いた画期的な治療法だった。

 幼なじみの、当時九歳のアデーラと十八歳のレイス  
 レイスはすでに一人前の青年になっていたが、アデーラはまだ幼い少女だった。『迎えに行く』という言葉にこめられた、暗黙の意味を読めといわれても無理な話だ。
 少年から青年への過渡期にあったレイスの、あやうく、はかない美しさとやさしさを、アデーラは思い出す。いま眼の前にいる傲慢で不埒な男とおなじ人物だとは、とうてい思えなかった。
 あの頃の、繊細でやさしかったレイスは、もういない。


「……ま、待ってちょうだい、レイス……わたしたちはもう、そんなことができる立場じゃないでしょう? 自分が何をしているか、わかってるの? すぐにロアナ島に引き返して。いまなら、まだ間にあう。何ごともなかったことにできるわ」
 申しわけ程度に付けられた船室の小さな窓から見えるのは、群青ぐんじょう色の荒れた海と不気味に曇りはじめた空だけだった。湧き出した鉛色の雲は嵐の前兆だ。神官の拉致に怒った守護天使たちのしわざだと、アデーラにはわかる。
 このまま航海を続けるのは危険だった。早く手を打たないとアデーラ自身の安全のみならず、アンドルシュ皇国とバルトシェク王国との関係も、取り返しのつかないことになる。
「穏やかなクラルの海が突然に荒れる  それがどういう意味なのか、神につかえる身ならわかっているはずよ、レイス。いますぐ、わたしをロアナの神殿に返しなさい!」
 気丈に歯向かってくるアデーラを、レイスは鼻で笑った。
「美しく、気高いアデーラ  神々に愛された聖女とともに海に沈められるのなら、おれは本望だな」
ごとを言っている場合ではないでしょう!? 窓の外を見て! 嵐が来るわ! すぐに引き返さないと!」

 訴えを無視して寝台に乗ってきたレイスの左手が、すばやくアデーラの肩をつかんだ。
 神官服の胸元にかかった右手は、肌を露出させないように詰まった襟もとを乱暴に引っぱる。ボタンがはじけ飛んで、堅い床板に転がった。
「なっ、何をするの!?」
「抗うのか。……まぁ、当然だな。表向きは無垢な乙女でなければ、神官など務まらない」
 意味ありげに言うと、抵抗するアデーラの身体をぐっと引き寄せ、顔をのぞき込んでくる。
「どこまで知っているんだ?」
「……知っているか、って……何のこと……?」
「男と女が、愛しあう方法のことだ」
 その言葉を聞いて、アデーラの息が止まった。こちらを見つめているレイスのすがめた眼の奥に、見たこともない妖しい光がともる。
「神託を降ろすために守護天使と一体になる  そういう名目で、ロアナ島の神官たちは淫らな儀式を行なっていると、おれの国ではもっぱらの噂だ。肉体は処女でも、精神はどっぷりと姦淫かんいんに浸っているというわけか……堕ちたものだな、アデーラ」
「ぶ、無礼な! そのような根も葉もない噂を流しているのは、いったい、どこのどなたですか!」
  ちがうと言いたいのか?」
「どこまでわたしを侮辱すれば気が済むの、レイス・ブルージェク!」
 いつもは冷静で慈悲深いアデーラだが、限度を超えた無礼や狼藉には怒りを隠さない。

 市井しせいの人間ならいたたまれなくなるはずの、聖女の突き刺すような厳しいまなざしを平然と受け止めたレイスは、腰のベルトにくくり付けている革袋から小さな巾着きんちゃくを取り出した。
 苔むした樹木や芳ばしい木の実、濃厚な花の匂い  それらが混ざりあった、不思議な昂揚感こうようかんをもたらす香りが船室に拡がる。アデーラには、なじみ深いものだ。
「これは、ロアナ島の神殿でかれている神香しんこうとおなじものだ。神官たちは霊力を高めるために、葡萄ぶどう酒や料理に混ぜて食することもあるそうだな。東洋で薬草学を学んだ医師に成分を調べさせたんだが……驚いたよ。使われている原材料すべてに、強い催淫効果がある。つまり  この神香の正体は、かなり強力な媚薬と断言していい」
「なんですって  ?」
「眼を覚ませ、アデーラ。おまえたち神官は長いあいだ、毎日のように媚薬を身体に取り入れてきたんだ。ただの性的な興奮状態を、特殊な能力だと  神託を受けるための霊力だと、勘ちがいしているだけだ」
「……性的な、興奮  ? 勘ちがい  ?」

 アデーラは混乱していた。
 レイスの言っていることを無条件に信じるつもりはない。けれど、神殿で日常的に用いられている神香が媚薬とおなじものだと聞くと、思いあたる節も多くあった。
 はじめて香をいだとき、まるで身体の奥がじりじりと焼かれるような、説明しがたい興奮に襲われたことを思い出す。
 九歳だったアデーラには、その状態がどういう性質のものか理解できなかった。それゆえ、『神託を受けるための変性』だという教育係の言葉を、あっさりと信じてしまったのだ。
(そう言われてみれば……たしかに、あの状態は……)

 アデーラは十九歳になった。
 一般女性にくらべると性的な知識や体験はとぼしいかもしれないが、肉体はもうすっかり大人の女性になっている。何とはなく、本能的に感じるものがあった。
 こうしてレイスを眼の前にしているいまも、ほんのわずかな香の匂いで下腹のあたりが妖しく疼きはじめている。
 アデーラは落ちついて、その淫靡な疼きの正体を追った。
 そうすると、神香を嗅いだり、香辛料として体内にり入れたときの心地いい酩酊めいていは、たしかに特殊な興奮状態だったのだと納得できる。
 けれど第一神官という聖職者の最高位にあるアデーラは、立場上、その事実を認めるわけにはいかなかった。
「……あなたが何を言いたいのか、よくわからないわ。そこをおどきになって、レイス  

 レイスは、威厳を保って告げたアデーラの襟もとを両手でつかむと、強い力で左右に引いた。
 純白の神官服は一気に裂かれ、豊満な白い乳房が弾みながらまろび出る。
 突然のことに、アデーラは声も出せなかった。大きな手に胸を鷲づかみにされ、その痛みと恐怖で、ようやく何をされているのかを自覚する。

「なっ、なんてことを  ひぃっ!」
 レイスの指先が、ぷっくりと膨らんだアデーラの胸の突起をつまむ。
 神香の匂いのせいなのか、あるいは  もの心ついた頃から密かに想い続けてきた、レイスの指で触れられたからなのか  そこはすでに、花の蕾のように赤く色づいて立ちあがっていた。
「こんなに、ここを尖らせて……なんて淫らな神官さまだ」
「ああっ  やめて!」
 いきなり胸に吸いついてきたレイスの頭を押しやり、引き剥がそうとする。が、アデーラの体重の倍以上はある男の力には抗えなかった。
 乳首をなぶる舌先のくすぐったさは、すぐに甘く痺れるような快楽に変わっていく。
「……やっ……い、いや  

 神官の身で異性の前に肌をさらすなど、許されないことだった。
『神に似せて創られた女性の肉体は、崇高で美しい。だが美しいがゆえに魔を宿し、男を淫欲の地獄にとす。必要以上に人の眼を惹かないよう注意し、つつしみ深くしていなさい』  幼いときから、アデーラがくり返し聞かされてきた言葉だ。
 それなのにレイスに触れられた場所から生まれる、ぞわぞわとした不穏な感覚をふり払うことができない。ふり払うどころか、引きずり込まれていく。
「あっ……あ、あん……」
 乳首を強く吸いあげられ、舌で転がされると、耳をふさぎたくなるような媚びた声が漏れた。
 唇の愛撫はアデーラの胸からみぞおちへと移動し、なめらかな起伏を描く腹部をたどる。
「そんなに、気持ちいいのか  ?」
 ささやいたレイスが、白いレースの裾をまくった。古くからのきまりにのっとり、神官服の下には何も着けていない。
「やめて! いやぁ!」
 無理やりに膝を折り曲げられ、太腿をかかえられた。そうすると、誰の眼にも触れたことのない秘められた谷間のすべてが、レイスの眼にさらされる。

「……きれいだ。ここも、おまえとおなじなのだな、アデーラ……気高く、美しい」
 じっとりとしたレイスの視線が、恥ずかしい場所にそそがれている。アデーラは死んでしまいたいほどの羞恥を感じて、両手で顔を覆った。
「ああっ! 見ないで!」
 ぴちゃりと湿った音がして、生あたたかい感触が陰部を這った。レイスの顔が股間に埋まり、艶やかな黒髪が内腿に触れている。
(まさか……まさか、舐められているの……?)
 大きく開かれた淫らな秘裂に、レイスの唇が押しつけられていた。狭間はざまを舌先で弾かれ、ねぶられるたびに、未知の快楽が押し寄せてくる。
 信じられない場所を舐められている  その衝撃的な事実を受け入れることができないアデーラは、われを忘れて身体を激しくよじった。脚をばたつかせようとするが、レイスの舌は、アデーラの知らない禁断の部位を執拗に刺激する。
 あたたかく湿った軟体動物が秘所を動きまわるたび、耐えがたい疼きと切なさに襲われた。抵抗する意思も、身体の力も抜けていく。

「ひっ! いっ、いやっ! お願い! お願いだから、やめてっ……! あっ、んんっ!」
 恐怖も、羞恥すらも打ち消してしまう気持ちよさに、アデーラは涙を流しながらのたうつ。
 唇で捕らえた淫芽を、レイスがきつく吸いあげる淫らな音がした。そのとたん、秘所から生まれた強烈な悦びが腹部を駆けあがり、頭頂をつらぬいた。
  ああっ! いやぁっ!」
 アデーラの背中はそり返り、本人の意思とは関係なく四肢が不自然に突っぱり、軽い痙攣をくり返す。閉じた目蓋(まぶた)の裏で極彩色の光が踊った。
「なんだ、もう達したのか……?」
 レイスの口もとには妖艶な笑みが浮かんでいるが、シルバーグレイの瞳を覆うほの暗い影を隠すことはできない。
 はじめて経験した絶頂に息を弾ませるアデーラは、離れていた十年間に蓄積されたのであろう彼の深い闇をかいま見ていた。

  アデーラ」
 そっと頬に触れてきたレイスから、アデーラは反射的に顔をらして逃れようとした。さらなる罪を重ねていきそうな予感に、眼をあわせるのが恐ろしかった。
「これは、ほんの序の口だ。これから何度もおまえを抱いて、本物の快楽を教えてやる」
 レイスの低い声は濡れているようで、背筋がぞくりとした。これ以上は危険だと、アデーラの本能が警鐘けいしょうを鳴らす。
 この先を知ってしまえば、もう二度ともとにはもどれない。
 神官の地位ははく奪され、しあわせな結婚も、愛する人の子どもを産むこともできなくなる。『悪魔の誘惑に負けたけがれた聖女』という忌まわしい烙印らくいんを背負い、一生独身のまま、世間をはばかって生きていくしかない。
 国のまつりごとをつかさどる高貴な地位からの、文字どおりの墜落だった。

「……い、いやっ……!」
 アデーラの眼尻から、大粒の涙がこぼれる。
 神に仕える身だという自覚はありながらも、レイスへの秘めた想いを断つことができなかった。けれど、こんなかたちでの成就を望んでいたわけではない。
 アデーラもレイスもおたがいに、神の定めた運命の相手ではなかった。二人には、天界からのお告げが降りてこないからだ。
 いくら想いあっていたとしても、アンドルシュ正教の神官は、『魂の片割れ』以外の相手と添い遂げることは許されない。
(それなのに……なぜレイスは、こんな非常識で強引なやり方でわたしを穢すの  ?)
 彼のこの仕打ちは、いまだめぐり逢えない『魂の片割れ』に対する冒涜ぼうとくであると同時に、アデーラの人生を踏みにじる行為以外の何ものでもなかった。

 レイスはアデーラの両脇に手をすべらせると、すくうように両の乳房を持ちあげた。たわわに盛りあがった胸の先端どうしが、触れあわんばかりに近づく。
レイスの肉厚な舌が、二つの尖りを一度に舐めあげた。
「んっ、ああっ  
 濃い薔薇色に染まった丸い突起は、またたく間に硬く膨らんでいく。乳房を揉まれながら舌先で弾かれるたび、甘い痺れがアデーラの全身を駆け抜けた。
 服の着脱をするときに、自然とこすれる場所ではあった。くすぐったさを感じることはあっても、こんな淫靡な気持ちよさを感じたことはなかったのに  
 次は左右交互に、胸の尖りを口に含まれた。吸いあげる淫らな水音とアデーラの喘ぎが、船腹にぶつかる波の音にまぎれる。
「淫らで罪深い女だな、おまえは  
 乳首を舌でなぶりながら、レイスが冷ややかに言った。
「もう、びしょびしょに濡れている……こんなことをされるのは、はじめてなのだろう……?」
 両腿の谷間の奥に、レイスの指が触れた。長い指が肉の花びらを掻きわけて、蜜壺の入口を探っている。くちゅっ、と小さな音が聞こえたのは気のせいだと、アデーラは思いたかった。
 谷間に息づく淫芽を指先でつまみ、こすり立てられる。
 同時に左右の乳首を交互に咥えられ、強弱をつけて吸われ、舐めあげられた。

「ひ……っ」
 レイスの指が、入り込んでくる。
 そこを押し開かれる痛みは、アデーラが思っていたよりも少なかったが、たったの指一本だ。男性のものは、この何倍も太いにちがいない。想像するだけで怖くなる。
 無遠慮な指はしかし、アデーラを気づかうようにゆっくりと動いた。
 肉の壁に沿って掻きまわし、かと思うと前後に抜き差しする。いつの間にか、指は二本に増えていた。異物感と、わずかに痛みが増していく。
「うっ、うう……あ……っ」
 レイスが、乳首のかたちをなぞるように舌を這わせた。吸われると同時に、指を入れられた場所がきゅうっと締まるのがわかる。
「締めつけてくるな……感じてるのか?」
「……あ、あっ……んっ……んんっ……」
 また胸の突起を吸われた。蜜壺を掻きまわされながら、さらに親指で淫芽を弄られた。
 アデーラは気が遠くなるような感覚に襲われ、背中を弓なりに反らせる。ずくずくとした激しい疼きが、全身に拡がっていく。
 レイスはふたたび、右の乳輪まですっぽりと咥えて何度も吸いあげた。
  ひぃっ……あっ、ああ……! いっ、いやぁ!」
 空いている右手と膝を使い、レイスはアデーラの脚をさらに大きく開かせた。愛されて蕩けた谷間に、熱く硬い何かが押しつけられ、頭の芯をつらぬかれるような衝撃が走った。

「いっ……あっ、あ、ああっ!」
 何が起こったのか、とっさにはわからなかった。蜜口が破られ、押し拡げられる感触で、レイスの肉体の一部が突き入れられたのだと気づいた。
「いやぁ! お願い! やめて、レイス!」
 アデーラは激しく抗った。いくら腰を跳ねあげようとしても、レイスの大きな身体に押さえつけられ、身動きが取れなかった。
 挿入されたレイスの先端が、ゆっくりと媚肉を開いていく。
 焼けただれた鉄の杭に犯されているようだった。こぼれた蜜液と肉がこすれあう、淫らな音が聞こえる。
 アデーラの意思に反して、開かれたやわらかな媚肉は、レイスを求めて絡みついていった。
 奥を突かれ、襞をこすられ、繋がった部分を揺らされるうちに、痛みのなかから、じれったいような切ないような、淫靡な感覚が湧きあがってくる。
 恐ろしくなったアデーラは、衝動的にレイスの背中にしがみついた。

 地獄に堕ちてしまう。
 神官の職を追われ、輝かしい未来も、努力を積み重ねてきた過去も、何もかもが失われてしまう。あとに残るのは、色褪せてぼろぼろになった抜け殻だけ  

 哀しみに押しつぶされながら、アデーラは悲痛な声をあげていた。



…………続きは電子書籍でお楽しみください。



honto


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